給与計算では必ず社会保険料の計算が必要となります。
会社は一定の条件を満たすと社会保険に加入しなければなりません。
社会保険料は、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料などから構成されます。
社会保険料は社会保険料率と標準報酬月額などにより計算します。
ここでは社会保険料率と標準報酬月額の概要をお伝えし、実際の社会保険料の計算方法をご紹介します。
社会保険率の概要
社会保険料は、標準報酬月額と社会保険率により計算します。社会保険率とは都道府県により決められた率で、「健康保険・厚生年金保険の社会保険料額表」に掲載されています。
概ね9%から10%の率で都道府県により異なります。
社会保険率は例年3月より変更となるため、3月分の給料を支給する際には、社会保険率の設定に注意が必要です。
例えば東京都の令和4年度保険率については、令和4年度は9.81%、令和3年度は9.84%のため、0.3%の引き下げとなっています。
また茨城県の令和4年度保険率については、令和4年度は9.81%、令和3年度は9.84%のため、0.3%の引き下げとなっています。
このように都道府県により社会保険率が異なっており、社会保険の申請している場所で社会保険率を用いて社会保険料を計算します。
例えば、本社が東京で千葉と茨城に支店があり、東京で社会保険の申請をしている場合は、東京の社会保険料率により社会保険料を計算します。
そのため社会保険率は従業員の居住地と限らない場合があります。
標準報酬月額の概要
社会保険料は、給料などの報酬を一定の範囲に区切り、また賞与では千円単位を切り捨てて基準を設定しています。
標準報酬月額は50等級に区分してあり、該当する等級から金額を計算します。
標準報酬月額は、該当年の4月、5月、6月の給与の平均値を元に、毎年7月に算出します。
これを定時決定(算定基礎)と呼びます。
また標準報酬月額に3等級以上の変動があった場合(月17日以上出勤の条件あり)は、定時決定を待たずに月額の変更を行います。
これを随時改訂と呼びます。
※標準報酬月額は都道府県により異なります。
実際の社会保険における計算方法を紹介
社会保険料率と標準報酬月額を用いて、実際に東京都での社会保険料を計算してみます。
社会保険料の計算式
社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)の計算式は次のとおりです。
・社会保険料⁼社会保険料率×標準報酬月額
健康保険料と厚生年金保険料は保険料率が異なるため別々に計算します。
別々に計算した保険料を合算し、その金額の半分ずつを会社と従業員で負担します。
社会保険料の計算例
実際に東京都の保険料率で社会保険料を計算してみます。
例えば月収205,000(介護保険第2号保険者に該当しない)の場合ですと
・標準報酬月額:200,000円
・健康保険料:標準報酬月額200,000円×社会保険率9.81%=19,620円
・厚生年金保険料:標準報酬月額170,000円(健康保険料を読替)×社会保険率18.3%=36,600円
よって社会保険料の合計額は
健康保険料19,620円+36,600円⁼56,220円
となります。
この金額を1/2にすると、
56,220円÷2⁼18,110円
となり、会社と従業員で同額を毎月負担します。
まとめ
社会保険料の計算には社会保険料率と標準報酬月額が必要です。
社会保険料率は都道府県により異なるため、都道府県毎の保険料額表から率を求めます。
そして社会保険料の総額が計算できたら、会社と個人で折半し保険料を負担します。
この記事では実際に社会保険料の計算をしてみました。
実務では給与システムにより自動で計算を行いますが、計算方法を一度理解しておくことが大切です。