今回は「有形固定資産」をお伝えします。
簿記3級試験では、ほぼ毎回出題される論点ですので、ポイントをおさえておきましょう。
固定資産
会計上の固定資産には、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産があります。
簿記3級試験で出題されるのは「有形固定資産」です。
有形固定資産とは、主たる営業のために使用する目的で長期にわたり保有するもので、建物・備品・機械装置・車両運搬具などがあります。
この記事では、有形固定資産に関する会計処理をまとめています。
ア. 有形固定資産の取得
有形固定資産取得時のポイント
・取得原価で勘定記入する
・取得原価とは、固定資産そのものの価額に付随費用をあわせた価額
付随費用には、買入手数料・整地費用・運送費・据付費・登記料・試運転費などがあります。
〈例〉営業用の備品90円を、手数料3円・据付費7円とともに現金で購入した。
(借)機械装置100 (貸)現金100
イ.有形固定資産の売却
有形固定資産売却時のポイント
・帳簿価額と売却価額を正確に算定する
・売却益または売却損が算出されたら貸借を誤らないように仕訳を行う
〈例〉取得原価80円の土地を70円で売却し、代金は普通預金に振り込まれた。
(借)普通預金70 (貸)土地80
固定資産売却損10
ウ.減価償却(間接法)・定額法
減価償却とは、取得原価を耐用年数(使用年数)に従い各事業年度に費用配分することです。目的は、資産を費用化し適正な費用配分を行うことです。
固定資産取得にかかった資金が、減価償却を行うことで貨幣性資産として回収され流動化するという効果があります。
記帳方法には、直接法と間接法がありますが、実務ではおおむね間接法を使います。
学習上でも間接法をしっかりマスターしておけば、直接法(2級範囲)にも対応できます。
減価償却の方法には下記があり、資産の種類により規定されています。
そのうち、定額法が3級の範囲です。
・定額法(3級範囲)
耐用年数にわたり毎期均等額を減価償却費として計上する方法です。
計算が簡便で安定的な配分ができます。一方で、耐用年数とともに修繕費の影響を受け費用負担が増える可能性があります。
・定率法(2級範囲)
・生産高比例法(2級範囲)
・級数法(1級範囲)
会計独特のルールなので難しい概念ではありますが、仕訳とともに理解しましょう。
〈例〉取得価額100円、耐用年数5年、残存価額0円の備品を決算にて減価償却費を定額法にて計上した。
(残存価額とは耐用年数経過後の資産価値)
(借)減価償却費20 (貸)減価償却累計額20
この会計処理をすることで、下記の増減が起こり資産の費用配分がなされるのです。
・備品:B/S資産の増加
・減価償却費:P/L費用の増加
・減価償却累計額:B/S資産の減少
エ.固定資産台帳
固定資産台帳とは、固定資産取得から廃棄までに関する詳細を記録し、管理するために作成する補助簿です。
固定資産台帳には下記の項目があります。
・購入日
・使用開始日
・取得価額
・保管場所
・移動履歴
・耐用年数
・減価償却費
など
まとめ
有形固定資産の学習ポイントは、取得時・売却時・決算です。
特に決算での減価償却は総合問題でも出題されますので、繰り返し練習することをおすすめします。