複式簿記を学ぶための7つのポイント|その③単式簿記と複式簿記の違いをおさえよう

お金の資格
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単式簿記とは?

単式簿記は、個人や小規模なビジネスでよく使われる簿記の形式で、シンプルで分かりやすい特徴があります。

基本的に「現金の出入り」を記録するだけで済むため、家計簿やおこづかい帳など、日々のお金の流れを簡単に把握することができます。

単式簿記の特徴

  • 簡単に記録できる:現金の収支(入金と出金)だけを記録するため、誰でもすぐに理解しやすい。
  • コストが安い:複式簿記のように複雑な仕訳帳などは不要で、帳簿の管理が簡単。
  • 分析が限定的:資産や負債、利益の詳細な分析はできず、収支の把握に限られます。

単式簿記と複式簿記の<共通点>と<違い>

比較項目単式簿記複式簿記
記録の対象現金の出入りだけ資産・負債・資本などすべての変動
使用例家計簿・おこづかい帳・通帳企業会計・決算書・税務申告
難易度やさしい(直感的)やや難しい(体系的)
分析できる情報量限られる非常に多い
主な帳簿単一帳簿(現金出納帳など)複数帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)

【例1】単式簿記での記録

例えば、次のような取引を単式簿記で記録すると、以下のようになります。

  • 7月1日:自己資金200万円で開業
  • 7月2日:埼玉銀行から100万円を借り入れ
  • 7月8日:すずらん堂商店に現金50万円を貸し付け
  • 7月16日:備品50万円を現金で購入
  • 7月22日:商品150万円を現金で仕入れ

日付内容入金(収入)出金(支出)残高
7月1日資本金2,000,000円2,000,000円
7月2日借入金1,000,000円3,000,000円
7月8日貸付金500,000円2,500,000円
7月16日備品購入費500,000円2,000,000円
7月22日商品購入費1,500,000円500,000円

単式簿記の長所

  • シンプルで手軽:初心者にも扱いやすく、特に少額取引の管理に適しています。
  • コスト削減:記帳作業にかかる時間や労力が少ないため、経営資源の節約になります。
  • 視覚的にわかりやすい:家計簿や簡易な記録帳に向いており、定期的な収支管理が可能です。

複式簿記とは?

複式簿記は、より詳細で精密な記録方法であり、特に企業会計で使用されます。

これは、すべての取引が「借方」と「貸方」の両方に記録されるシステムです。

つまり、各取引が双方向に反映されるため、取引内容が一目で理解でき、資産や負債、利益を正確に把握することができます。

複式簿記の特徴

  • 詳細な記録が可能:資産、負債、収益、費用など、すべての取引が記録され、企業の財政状態を正確に反映します。
  • 決算に必要:企業は法律で複式簿記を採用することが義務付けられており、税務申告や財務諸表の作成に欠かせません。
  • 長期的な分析が可能:時間をかけて積み重ねられたデータをもとに、経営戦略や財務計画を立てる際に有用です。

複式簿記の基本的な記録方法

複式簿記では、各取引を借方と貸方に分けて記録します。

例えば、現金を銀行から借りた場合、借方には「現金」を、貸方には「借入金」を記録します。

こうすることで、取引の対価として何が増え、何が減ったかを正確に追跡できます。

日付借方科目金額貸方科目金額摘要
7月1日現金2,000,000円資本金2,000,000円開業
7月2日現金1,000,000円借入金1,000,000円銀行より借入
7月8日貸付金500,000円現金500,000円商店に貸付
7月16日備品500,000円現金500,000円備品を購入
7月22日商品1,500,000円現金1,500,000円商品を現金で仕入れ

複式簿記の長所

  • 信頼性の高い財務情報:企業の資産や負債の状態を正確に把握することができ、利害関係者(投資家や銀行など)の信頼を得られます。
  • 税務申告や決算書の作成に不可欠:複式簿記を採用している企業は、正確な決算書を作成し、税務申告を行うことができます。
  • 経営判断の材料として活用:詳細なデータに基づいた経営判断ができ、長期的な成長戦略に役立ちます。

まとめ

単式簿記と複式簿記は、どちらも重要な記帳方法ですが、それぞれの特徴や用途に応じて使い分けが必要です。

個人や小規模なビジネスでは単式簿記が有効で、企業や税務申告が必要な場合は複式簿記が最適です。